
今回は、アクリル系接着剤の特徴に加え、ウレタン系とシリコーン系の違いについて紹介します。アクリル系接着剤は、太陽光の影響を受けにくいことから、天候による影響が極めて少ない素材です。本記事では、アクリル系接着剤の特徴や、ウレタン系とシリコーン系に関して何が異なるのか紹介します。
アクリル系接着剤の特徴とおもな用途
アクリル系接着剤はさまざまな場面で使用されています。アクリル系接着剤の特徴とおもな用途について紹介します。アクリル系接着剤の特徴
アクリル系接着剤の原料は、アクリルポリマーを原料として製造されています。モノマーの種類やポリマーの量などを加減することで、粘着性を強めたり弱めたりできる特性があります。透明性や耐熱性に優れているため、弱粘着タイプから強粘着タイプまで幅広い分野で使用されている粘着剤です。アクリル系粘着剤を使用した製品
アクリル系粘着剤を使用した製品は、多岐に渡りますが保護シートやキャリアシートに使用されています。また、シールやラベル用の粘着シートにも使用されています。各種光学フィルムの貼り合わせやITOフィルムの貼り合わせにも適しており、さまざまな場面で使用されていることがわかるでしょう。進化するアクリル系粘着剤
粘着剤は、日々進化を続けており自動車の外部部品に対しても使用されています。過酷な環境下でも安心して使用される粘着剤として、調合可能なアクリル系粘着剤は人気です。現在では、より進化を遂げるため、アクリル系粘着剤の調合技術研究が進められています。ウレタン系・シリコーン系接着剤との違い
粘着剤で使用されているものには、ウレタン系とシリコーン製のものも存在します。それぞれの違いについて紹介します。ウレタン系接着剤
ウレタン系粘着剤は、イソシアネート基とヒドロキシ基をもつ化合物同士を縮めて得られるポリウレタンからなる粘着剤です。万が一、間違えて貼ってもはがし残りなく剥がせるという特性があります。また、コスパにも優れており、低価格で使用できる点から多くの場面で使用されています。たとえば、POP広告やポスターを貼るときに優れているでしょう。
シリコーン系粘着剤
シリコーン系粘着剤は、シリコーンポリマーを主成分とする粘着剤です。使用温度領域が広いことから、内部はもちろん外でも使用できる特性があります。保護フィルムや各種テープに使用されており、事務で使用する場面が多いでしょう。それぞれをアクリル系接着剤と比較
アクリル系接着剤は、一定程度のタックをもち、強い粘着性があります。粘着性に関して、ウレタン系粘着剤ではソフトで、しなやかに剥がせる設計になっているため、アクリル系接着剤に対しては弱いと感じるでしょう。また、シリコーン系接着剤は、撥水・撥油性による油汚れをはじき、付着してもかんたんに拭き取れる特徴があります。このことからも、アクリル系粘着剤は粘着力がほかより非常に強い特性があります。
アクリル系接着剤の選定ポイントと注意点
アクリル系接着剤は、使う用途によって異なるでしょう。アクリル系接着剤の選定ポイントに関して紹介します。アクリル系接着剤と相性のよい素材
アクリル系接着剤と、相性のよい素材として表面自由エネルギーが強い素材が上げられます。相性がよい素材として、アルミやスチールが上げられるでしょう。ただ、難接着材料・低極性の接着とは相性が悪いため、使用する際にはどのような素材に使用するか、しっかり確認することをおすすめします。有機溶剤を使用せず塗工できる
粘着剤を塗工する工程では、有機溶剤などを混ぜて使用するのが一般的です。しかし、アクリル系粘着剤を加熱することで押し出しながら塗工する技術を開発した企業も存在します。透明なタイプからアクリルフォームタイプなど、使用する方の要望に応えて使用できるものまで幅広く対応する技術をもつ企業も存在するため、一度見積もりをお願いしてみるのもひとつの手段でしょう。
アクリル系接着剤の選定ポイントについて
アクリル系接着剤を使用するべきか検討している方は、選定ポイントを考慮しながら選ぶ必要があります。ひとつは、屋外で使用するものかどうかです。アクリル系接着剤は、太陽光による影響を受けづらく、天候の影響を受けにくい特徴があります。また、黄色く変色しにくいため、ガラスやプラスチックに使用したい方に適しているでしょう。アルミなどの高極性の素材との相性がよいため、どのような素材に使用するかも選定ポイントになります。粘着性は調合することで、強めたり弱めたりできるため自分の好きな粘着力を作れます。