
ものとものをくっつける技術には、粘着と接着があります。一般的に、ものをくっつける道具として接着剤が使われますが、粘着剤も存在します。2つは似ているものですが、それぞれ原理や用途が異なるため、理解しておくことで適切な選択ができるでしょう。この記事では、粘着と接着の違いや特徴について、くわしく紹介していきます。
粘着と接着の基本的な違いとは?
まず粘着と接着の定義や、どのような違いがあるのかくわしく解説します。粘着とは
粘着とは、水・溶剤・熱などを使用せず、常温で短時間およびわずかな圧力を加えるだけで貼りつく状態を意味します。比較的力が弱いため、一時的に貼りつくことが多く、剥がすのもかんたんな点も特徴のひとつです。接着とは
接着とは、2つの個体面を第3の媒体を介して互いに接合することをいいます。物理的な力で、しっかりとくっつく状態です。1度くっつけると、かんたんに剥がせないのが特徴です。より強力で恒久的な目的で接合するときに使われます。粘着と接着の違い
粘着と接着は、ものとものもくっつける点では共通していますが、しくみや強度に違いがあります。粘着は、テープや付箋のように軽い力で貼りつき、繰り返し付けたり剥がしたりできるのが特徴です。一方で、接着は、素材同士を強くくっつけるのでかんたんには剥がれません。粘着は一時的、接着は恒久的に固定することを目的に使われます。
粘着と接着それぞれの特徴と用途の違い
粘着と接着それぞれの特徴と、用途の違いをくわしく解説します。粘着の特徴
粘着は、常に濡れた状態を安定して維持しています。そのため、かんたんに貼り付けられ、剥がすのも容易です。貼る前も貼った後も、粘着面はやわらかく粘り気のある状態を保ったままで、性質に大きな変化はありません。接着の特徴
ものとものをつけるためには、濡れた状態が必要になるため、接着剤は液体です。しかし液体の状態では力が加わったときに流れやすく安定性が低くなるため、貼ったあとに液体から個体に変化するように設計されています。個体になるしくみは、乾燥・冷却・化学反応などです。デンプン粉が固まるのは乾燥、瞬間接着剤は化学反応によって固まります。
粘着と接着の用途の違い
粘着と接着は、用途にも違いがあります。粘着は、付箋や養生テープなど、一時的に貼って剥がす必要がある場合に使われます。繰り返し使える点や、使用後に跡が残りにくいのが特徴です。一方で、接着や家具の組み立てや修理、建材の固定などに使われています。長期間しっかりと接合したい場合や構造の補強などに使われます。強度や耐久性が求められる場面で使われることが多く、かんたんには剥がせないのが特徴です。
粘着と接着の選び方と注意点
粘着と接着の選び方と注意点を解説します。粘着の選び方
粘着剤を選ぶ際は、貼る対象の素材や表面状態に適しているのか、確認することが重要です。紙・金属・プラスチックなど、素材によって粘着力は異なるため用途に応じて選びましょう。また長時間貼るのか、短時間貼るのかでも選び方は変わります。剥がした後に跡が残らないタイプのものや、再利用できるタイプなど、目的に合わせて選ぶことが大切です。
粘着の注意点
粘着剤は、貼る前にほこりや油分などをきれいに拭き取っておくことが重要です。ほこりや汚れがあると、粘着力が落ちてしまいます。また高温多湿な環境では、粘着力が低下する恐れがあるので注意しましょう。粘着剤は跡が残りにくいのが特徴ですが、長時間貼り続けると変色する場合があります。そのため、できるだけ早く剥がすことをおすすめします。粘着剤は、直射日光を避け涼しい場所で保管しましょう。
接着の選び方
接着剤は、まず接着したい素材に対応しているのか、確認することが重要です。木材、金属、布、プラスチックなど、素材ごとに最適な接着剤は異なります。それぞれの専用の接着剤を使用することで、強度や耐久性が高まるでしょう。また使用環境にも考慮しなくてはいけません。屋外や湿度の高い場所で使用する際は、防水性や耐熱性が高い接着剤を選びましょう。さらに接着剤の硬化時間や使いやすい形状なども選ぶ際のポイントになります。
接着の注意点
一般的に接着剤は化学反応で固まるため、換気されている場所で使用しなくてはいけません。また皮膚や目に触れないように注意する必要があります。乾燥する前に接合部分を動かしてしまうと接着力が弱まってしまうため、硬化時間はしっかり守りましょう。また量を多く出し過ぎてしまうと乾燥が遅れてしまうので、適量を守ることが重要です。子どもやペットがいる家庭では、とくに保管場所に注意しなくてはいけません。使用後は、手の届かない場所に保管しましょう。