ホットメルト接着剤とは?特徴と用途をくわしく解説

公開日:2026/01/15
ホットメルト接着剤

ホットメルト接着剤は、水や有機溶剤を含まない安全性の高い接着剤として、包装から自動車、建材まで幅広い分野で活躍しています。加熱で溶け、冷却で瞬時に固まる特性により、生産性向上や環境負荷の低減に大きく貢献する、現代の製造現場に欠かせない素材です。今回はホットメルト接着剤の特徴や用途などをくわしく解説します。

ホットメルトとは?

ホットメルトとは、引火の危険性がある有機溶剤を含んでいない不燃性の接着剤です。ホットメルト接着剤の定義は3つです。

まず1つ目は「水や有機溶剤をまったく含まない熱可塑性ポリマーを主成分とする、常温で固体の接着剤であること」、2つ目に「加熱溶融後塗布して冷却すると短時間で固化すること」が挙げられます。ホットメルトは複数の成分で構成される多成分系の接着剤ですが、水や有機溶剤が含まれていません。

常温では固体ですが、温めると液体になりさまざまな場所で使えるようになります。液体状にしてから対象物へ塗布し、放冷することで再び固化します。短時間で強固な接着を実現できるため、生産現場において高い効率性を発揮します。

3つ目の定義は「多成分系接着剤であること」です。ホットメルトは複数の成分で構成される多成分系の接着剤であり、主成分となるベースポリマーの種類によって特性や用途が大きく異なる点が特徴です。

おもに採用されるベースポリマーにはEVA(エチレン酢酸ビニル共重合体)系、オレフィン系、合成ゴム系、反応型ポリウレタン(PUR)系、ポリアミド系、ポリエステル系などがあり、それぞれが独自の強みをもちます。

ホットメルトのベースポリマーごとの用途

ホットメルトの最大の特徴は、熱を加えると液体となり、冷えると固化するという熱可塑性素材の性質を最大限に活かした接着方式にあります。

さらに、ベースポリマーによって特性が変化し、用途に応じた選択がしやすい点も特徴のひとつです。ここではベースポリマーごとに得意なシーンやリスクを解説します。

ベースポリマーごとの特性

EVA系

EVA系は粘着付与材やワックスとの相溶性が高く、接着性能の設計自由度が大きいことから、包装や段ボール、木工や製本など幅広い分野で使用されています。

オレフィン系

オレフィン系はPEやPPなど難接着材料への適性が高く、耐熱性にも優れているため、建材や自動車、包装分野での利用が進んでいます。

合成ゴム系

合成ゴム系は弾性をもった接着層が形成されるため、柔軟性と粘着性が求められる衛生材料向けです。紙やフィルム、不織布との相性がよく、おむつや衛生材料などに欠かせません。

反応型ポリウレタン系

反応型ポリウレタン系は、塗布後に湿気と反応して硬化し、再溶融しない構造となるため、高い耐熱性や耐久性を求められる建材や自動車用途、製本に利用されます。

ポリアミド系

ポリアミド系は耐熱性や耐薬品性、電気絶縁性に優れることから、電子部品や自動車部品に採用されています。

ポリエステル系

ポリエステル系は耐薬品性と幅広い材料への接着性を兼ね備え、オイルフィルターや端子部固定に適しています。

PUR系

PUR系は、湿気と反応して硬化する反応型であるため、一般的なホットメルトの弱点でもある再加熱による再溶融が起こらず、高強度の接着が可能です。建物の建材や自動車の部材に使用できます。

ホットメルト使用時のリスク

高温で溶融させて使用するため、作業時にはやけどのリスクがあり、取り扱いには注意が必要です。また、長時間加熱したまま放置すると劣化が進む場合もあるため、使用量に応じた加熱管理が求められます。

利用には専用のアプリケーターが必要となる点も押さえておくべき特徴です。

ホットメルトを使うメリット

ホットメルトは生産の現場で利用しやすい特性をもつため、幅広い分野で活躍しています。ここでは、ホットメルト接着剤を使うメリットを解説します。

安全

ホットメルトは有機溶剤を含まない無溶剤タイプであることから、引火の危険がなく、製造現場での火災リスクがありません。作業者の中毒リスクが低く、安全面で優れた利点をもっています。

この特性によって食品容器のシール材としても使用され、安全性の高さから多くの業界に受け入れられています。

生産スピードが上がる

ホットメルト接着剤の最大のメリットは、生産性の大幅な向上です。溶剤型の接着剤とは異なり、乾燥工程が不要なため生産スピードが飛躍的に向上し、短時間で高い接着力を得ることができます。

省エネルギー化と省スペース化につながるのもメリットです。短時間で固化する特性は、とくに段ボール封緘や包装ラインにおいて作業効率を大きく改善し、箱内部の製品封函を美しく仕上げることができます。

接着工程の自動化がしやすい点も生産現場での導入を後押ししており、大量生産ラインで高い効果を発揮します。

環境にやさしい

有機溶剤を使用しないため、排水処理や廃液処理が不要となり、環境負荷を大きく低減できます。揮発性溶剤が含まれないことから作業環境もクリーンで、作業者の安全性が高い点もメリットです。

ホットメルト自体が危険物に該当しないため、保管時の規制が少なく、常温で固形のため輸送も容易です。

使用シーンの自由度が高い

ホットメルトは材料選択の自由度が高く、多様な基材に安定して接着できる点も魅力です。紙や木材、金属、プラスチックなどに加え、一般的には接着が難しいPEやPPにも対応できるため、幅広い産業分野で活用されています。

塗布パターンもドット、スパイラル、ロールコートなど多様で、生産ラインの条件に合わせた柔軟な設計が可能です。生産ラインで求められる塗布形状やスピード、接着特性に応じて最適なホットメルトを選べるため、仕上がりの品質を高めることにもつながります。

まとめ

ホットメルトは紙、金属、フィルム、プラスチックなど幅広い材料に接着でき、PPやPEといった難接着材料にも対応できる接着剤です。そのため、多種多様な産業の現場から高い信頼を得ています。環境にやさしく、安全性、作業効率、接着性能のすべての面で優れた特徴を備えており、万能な接着剤のひとつといえるでしょう。

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